SDGsニュース②
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SDGsニュース②
23/2/28 22:00
「SDGs実施指針」4年ぶりの改定案を政府が発表
「SDGs実施指針」4年ぶりの改定案を政府が発表
政府は11月1日、政府のSDGs取り組み方針である「SDGs実施指針」の改定案を発表した。12月に予定する4年ぶりの改定に向け、11月15日まで広く意見(パブリック・コメント)を募集している。(副編集長・竹山栄太郎)「包摂性」「統合性」に課題
SDGs実施指針は2016年12月に決定、2019年12月に改定され、今回が2度目の改定となる。改定に向けて、2022年には2回にわたって「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議」を開き、関係者から意見を集めてきた。
国際機関の報告書などでは、ジェンダー分野を中心にさまざまな課題が指摘されていることにも言及されており、政府がSDGs達成における共通の主要原則とする①普遍性(国内実施と国際協力の有機的連携)、②包摂性(「誰一人取り残さない」)、③参画型(ステークホルダーなどの参画)、④統合性(異なる課題の有機的連動と統合的解決)、⑤透明性と説明責任(定期的な評価・公表)の5項目のうち、「特に、②包摂性及び④統合性について依然として課題を抱えている」との見方を示した。
また、国際社会は、気候変動や感染症の深刻化など「SDGs採択当時には想定されていなかった複合的危機に直面している」とし、「先進国と開発途上国の課題を統合的に解決し、国際社会が全体として包括的にSDGsを推進する取り組みがこれまで以上に求められている」と述べた。
五つの重点事項
改定案では、これらの現状分析をふまえ、日本にとっての重点事項として以下の五つを挙げている。
①持続可能な経済・社会システムの構築
②「誰一人取り残さない」包摂社会の実現
③地球規模の主要課題への取り組み強化
④国際社会との連携・協働・共創
⑤平和の持続と持続可能な開発の一体的推進
①持続可能な経済・社会システムの構築については、「持続的成長、安心及び幸せを実感できる経済社会を実現できる経済構造」の構築や、全ての人々にとってのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進を挙げ、社会課題解決に取り組む企業や社会起業家への支援を強化する方針も打ち出した。
②「誰一人取り残さない」包摂社会の実現に関しては、「こども施策の抜本的強化」や「女性登用の加速化を含む女性の活躍と経済成長の好循環の実現」などを通じて、「格差拡大と固定化による社会の分断を回避し、持続可能な経済社会の実現につなげていく」とした。
④国際社会との連携・協働・共創では、ODA(政府開発援助)の拡充や「開発途上国の複合的危機に対する強靱(きょうじん)性の強化への協力」などを挙げた。
また、重点事項の実施にあたって、以下の3項目に取り組むとしている。
①実施体制の強化・ステークホルダー間の連携
②自発的国家レビュー(VNR)と国際社会の取り組みの主導
③啓発・広報
この3項目のうち、③啓発・広報については、「我が国のSDGs達成に向けた具体的課題の解決に資する観点から、引き続き、不断の見直しと選択的な強化を進めていく」としたうえで、2025年の大阪・関西万博などの機会を利用して「国際社会に対する発信を強化していく」との方針を掲げた。
「企業は経営戦略の中にSDGsを」
改定案では、「別紙」として「各ステークホルダーに期待される役割」をビジネス、ファイナンス、市民社会、消費者など10の主体に分けてまとめている。
このうちビジネスに対しては、「企業が経営戦略の中にSDGsを据え、個々の事業戦略に落としこむことで、持続的な企業成長を図っていくことが重要だ」とし、革新的なデジタル技術やビッグデータの活用による社会課題解決を求めた。また、地球環境問題やディーセント・ワークの実現、「ビジネスと人権」などに関する取り組みが、「国際社会からの信頼を高め、グローバルな投資家の高評価を得るうえで重要だ」とも指摘した。
ファイナンスに関しては、「公的資金と民間資金の有効な活用など、SDGs達成に向けた取り組みを多様な手法で金融面から支援していくことが重要だ」としたうえで、インパクト投資やESG投資といった、社会・環境課題の解決に向けた資金の流れの強化を求めた。また、「投資家などが企業との建設的な対話を通じて中長期的な企業価値の向上を促す観点から、企業のサステナビリティ開示の充実などを図ることが重要」とも述べた。
このほか、市民社会には「国内外・各地域の主体との連帯により、一人ひとりの行動変容と変革の旗振り役となること」、地方自治体には「SDGsを原動力とした地方創生を推進すること」などを求めた。
意見があれば、政府のパブリック・コメントのサイトから提出できる。
【参考文献】
SDGs ACTION編集部